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営みの名残り

営みから帰る車の中で、彼女が自分の右手の匂いを嗅いでから、私の顔の前に差し出した。


「あなたのペニスの匂いがする。ずっと握ってたから…」


『シャワーも浴びてるし、そんなことはないだろう』と思い、嗅いでみるが、何の匂いもしない。


「匂わないよ…」


私が答えると、もう一度嗅ぐ彼女。


「ううん、あなたの匂いがする」


私には分からないが、やはり匂うらしい。


「自分の体臭は気付かないからかな? でも、私も、家でお風呂に入り直した時、シャワーで洗い損ねた部分から理緒さんの匂いがすることがある…」


「私は、いつも全部洗い流さないで、あなたの匂いを残して家に持ち帰るの」


「えっ、わざと残すの?」


「うん。もったいないから」


「それは、つまり、家で余韻を味わうため?」


「うん」



帰宅してから私の精液が流れ出てくる際、バツが悪いような、私を感じられて嬉しいような気持になるという話は聞いていたが、そんなことしていたなんてまったく知らなかった!



そこまで私を想ってくれていることを知り、驚くと同時に、とても嬉しく思った瞬間だった。



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